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トレンドの軒なし住宅のデメリットとは?

建築関連

住宅の印象を決める外観デザイン。軒のあるなしが建物に与える影響は大きいです。
近年のトレンドでシンプルでスタイリッシュな外観が人気となっており、軒なしの住宅が増えてきました。

ただし、その裏に潜む危険性については皆さんどのくらい理解されているでしょうか?この記事では軒なし住宅のメリット・デメリットをご紹介していきます。

そもそも軒の役割とは?

まず最初に軒の基本的な役割を考えていきましょう。
主な役割は、建物を雨や日差しから守ることになります。軒があることにより雨が直接外壁に当たることがなくなるため、外壁の劣化を防ぐことができ、結果寿命を伸ばすことができます。

また、軒の長さを調整することで夏の強烈な日差しを遮りつつ、冬のあたたかな日差しを取り込むことが可能になります。

また軒があることにより軒下が雨天時でも活動できる空間ともなり、屋外と室内をつなぐ空間の役割もあります。

軒なし住宅のメリット

では、なぜこんなにも機能性のある軒がない住宅が増えているのでしょうか。昨今のトレンドともいえる軒なし(軒ゼロとも言います。)住宅のメリットをご紹介します。

シンプルでスタイリッシュなデザイン性

軒がないことで、外観がシンプルな形となりスタイリッシュになります。ミニマリストが増えてきた中で住宅もミニマルなデザインが好まれてきたのでしょうか。

建築費用の削減

軒がないということは、その分の材料費がいらなくなるということでもあります。施工費も抑えられます。
屋根の面積、軒の面積が削減され、軒天もなくなります。見た目もすっきりとして、建築価格も抑えられるということで人気があるのも頷けます。

住宅面積の最大化

軒がないということは、その分隣地境界ぎりぎりまで外壁を広げることが可能となります。(ただし、民法や建築基準法などによって隣地境界線との距離は決まってきます。)
特に都市部など、土地が狭い地域で建築するときにこの優位性が際立ってきます。通常では、軒の出まで含めて隣地との距離や建蔽率(軒の出1m以上の場合)に含まれてきますが、軒なしにすることで外壁面で計算することが出来るようになります。

軒なし住宅のデメリット

ここまで見るとメリットしかない!と思う人もいらっしゃるかもしれません。そんなことはなく、デメリットももちろんあります。
むしろこのデメリットの大きさがメリットを上回ってくるのが「軒なし」住宅です。

雨漏りリスク

一つ目にして最大のデメリットがこの雨漏りです。構造上どうしても雨が入りやすくなってしまい、事実、住宅検査機関の報告では雨漏り事例が多発しております。

住宅の雨漏りの多くはサッシ廻りやバルコニーの笠木廻りなどの取り合い部で発生します。軒なしになるということはこの取り合い部が増えることを意味します。

軒がないことで直接雨が吹き込むことになり、雨が入りやすくなります。また下地の防水の処理も難しくなるため、余計に悪くなります。

外壁の劣化、コーキングの劣化、防水紙の劣化などが重なります。

下地防水に使う「透湿防水紙」ですが、一般的なものを使用すると10年で紫外線劣化によりぼろぼろになることがあります。(このお話はまた今度)

怖いのが表面上は大丈夫そうに見えても、内部では腐りが進行していることです。また昨今の気密住宅の場合はさらに悪く、一度雨が入ってしまうと外に抜けにくいため、湿気がたまり、カビの原因になったりもします。

本当に昔の住宅は、雨が入ってもすぐに抜けたり、風通しが良いので乾いてしまい、あまりにひどいことにはなりづらかったです。

夏の強い日差しを遮れない

二つ目のデメリットは、真夏の日差しを遮れないことです。
軒は出幅の調整で夏の日差しは遮りつつ、冬の日差しを取り入れる日本の先人の知恵でもあります。

軒がないことでダイレクトに日差しが入ってくるため、いくら窓の性能を上げても夏は暑くなってしまいます。

軒なし住宅はおすすめしない。ただし、条件によってはあり。

雨漏りのリスクがある以上(軒ありの住宅に比べて5倍以上のリスクがあると言われています。)、おすすめはしません。住宅は建てたときが完了ではなく、そこから10年、20年と住まい続けていくものです。いくらかっこいい、お洒落だからと言って10年後雨漏りする住宅ってどうでしょうか?
単純にかっこいいとも思えず(一部本当にかっこいい住宅はあります。)、採用する意味があまりないと考えます。

ただし、都市部などの狭小地やデザイン上どうしても採用したい!ってことだと、経験と技術力のある職人さん、工務店選びが最重要となります。

通常の何倍もの防水対策を、また何倍もの気を使って施工するのであれば、良いのかなと思います。

建ててから後悔しないようにメリット・デメリットをしっかり把握したうえで検討することがとても大切だと思います。

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